申如録

日常生活で考えたことなど

2022-01-01から1年間の記事一覧

眠られない夜のたわごと 3

首里城を燃やした人がいるとするならば、首里城を愛していた人であってほしい。燃え盛る首里城はその人の心に深い感銘を残しただろうか。彼にとってその光景はさぞ美しかっただろうか。 木の葉を川に浮かべるとゆらゆらと遠ざかっていく、それによって川が流…

私が見ている赤は他人が見ている赤と同じ色か?

はじめに 「私が見ている赤は他人が見ている赤と同じ色か?」という問いは、多くの人が一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。少なくとも私は幾度となく疑問に思ってきたし、今でもその誘惑に駆られることがあります。 今般、友人からこの問いについ…

令和キッズが恐ろしい

物心つく前からスマホやタブレットを使いこなす令和キッズはまさに新人類だと思う。何歳にもなっていない子どもがスマホやタブレットを使いこなしているのを見ると「こいつらすげーな」と思う(よね?)。われわれはスマホなどの使い方を知識として学んだが…

思考のノイズを除去し、世界の解像度を上げる

ぼーっとするくらいなら感覚を研ぎ澄ませたほうが人生おもしろいのでは、という話です。 私は小さいころから脳内でひとりごとを言うのがクセで、気づいたら映像つきのひとりごとが脳内で勝手に始まっている。これはてっきり自分だけかと思っていたらけっこう…

文章を書く習慣がつかない

文章がうまくなりたいと思ってこのブログをはじめてから早数年、上達のためには習慣化して量をこなすことが必要だとはわかっているが、どうにも習慣化することができない。文章を書くことは向いてないのかもしれない。 そもそもなぜ文章がうまくなりたいと思…

京都に来られない友人の代わりに京都を歩いたことを報告する手紙の一節

今日は京都の下鴨神社に行きました。お参りはこれで3回目くらいだと思います。 下鴨神社では特別拝観がありましたので、入場料をお納めし、本殿を間近でお参りした後、本殿横の三井神社に入らせていただきました。あなたもご存じのとおり、三井神社は私にと…

酷暑を懐かしんで

大いなるものが過ぎゆく酷暑かな 久しぶりに歌を作ってみた。私がここで念頭においたのは時間である。6月中旬までの爽やかな気候とは打って変わって、下旬になると今までにない酷暑となった。しかし、あの酷暑もすでにおさまり、今や気温は平年並みである。…

手ざわり

電子書籍を読むたびにその便利さに驚かされる 電子書籍を読むたびに紙の本が好きになる ひとつのことしかできない手ざわり そういう手ざわり、好きよ

眠られないよるのたわごと 2

オフの日 頭が重いと思ったら低気圧がのしかかっていた 足が重いと思ったら地球がぶらさがっていた 気持ちが浮かないと思ったら過去がまとわりついていた なんでもない一日ひねもす窓の外を眺める 街路樹 街路樹に申し訳ないひとの都合でこんなところに植え…

かたじけない

私が普段使うものは私が作ったのではない。私の服も、パソコンも、家も、私が作ったのではない。道も、電気も、水も、空気も、私が作ったのではない。私は自分に対して何もできていない。ましてや他人や世界に対してはなおさらである。それなのに、私はすべ…

食う寝るところに住むところ

こんな夢を見た。 お椀型の、それもほとんど台形に近いような丘の頂上付近に私がひとり立っている。麓から途中にかけては木が生い茂っているが、頂上に近づきいよいよ地面が平たくなってくると、そこはすべて白いコンクリートで塗り固められ、頂上の私からは…

数式の共通性と独在性

小学生のころ、「数式は世界共通の言語だから誰とでも通じ合える」と聞いて不思議に思ったのを覚えている。たしかに数式の内容は誰にでも伝わるかもしれないが、僕が数式を作ったり理解したりするときのあのイメージは誰にも伝わらないのだから、数式は誰と…

神はどこにいるのか

私は特定の宗教を信仰しているわけではないが、神はいると思う。 私のいう〈神〉は、おそらくみんなが漠然と(あるいははっきりと)考えるような「神」とはちょっと違う。私にとっての〈神〉は、たとえば目の前にりんごがあるのと同じように物体として存在す…

反出生主義について考える

転載にあたって 反出生主義について考える はじめに―反出生主義とは何か 反出生主義について考えてもよいのか 反出生主義とはそもそも誰について考えることなのか 私とは内容的規定を持たない存在=世界である 反出生主義は何を問題にするのか おわりに―反出…

桜の話

梅が散るのと入れ替わりで桜が咲いてきた。 満開の桜、特に夜桜を眺めていると、容易にうつつを抜かしてしまう。きれいだなあと思う。 この時期、(私の勝手な印象では)おじさんたちが「桜は散り際が美しい」とよく口にしている。私はその言葉の裏に「俺わ…

『臨済録』曲解 四

上堂 ―お堂での説法― その4 【原文】 上堂。云、赤肉團上有一無位眞人。常從汝等諸人面門出入。未證據者看看。時有僧出問、如何是無位眞人。師下禪牀把住云、道道。其僧擬議。師托開云、無位眞人是什麼乾屎厥。便歸方丈。 【日本語訳】 臨済がお堂にやって…

長谷寺 祈りの回廊

はじめに 2021年12月28日から12月31日までの4日間、私は奈良県桜井市にある長谷寺の朝勤行に参加し、12月31日の夜には観音万燈会を訪れてきた。長谷寺でのひと時は個人的にとても良い体験になったので、ここでは長谷寺とそのイベントについて紹介するととも…