申如録

日常生活で考えたことなど

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ちゅう太の話

これは、とある時代の、とおい国のおはなしです。 その国のはずれ、都からは山をいくつも越えたところに、〈あかい村〉という村がありました。あかい村は農業でくらしをたてている小さな村で、人々はその日その日をのんびりと、ほがらかに過ごしていました。…

玉を食うばけものの話

むかしむかしあるところに、玉(ぎょく)をたべるばけものがいました。玉とは日本や中国などでたいせつにされてきた、きれいにみがかれた石のことです。玉はきれいですべすべしているので、みんなほしがり、たからものにしてきました。 玉をたべるばけものは、…

近畿周遊記 その5

5 近畿旅行の最終日は朝7時過ぎに目が覚めたが、すぐに残念なことに気づいた。頭が痛いのだ。 私は片頭痛持ちなので低気圧にはめっぽう弱い。気圧が下がるとずきずきと頭の表層が痛み出し、ひどいときには視界が狭くなってしまう。今回に関してはもちろん旅…

近畿周遊記 その4

4 昨日とんでもなく濃い1日を過ごしたせいか、私たちはお互いに3時間ほどしか寝られなかった。再び寝付けそうもないので、室生寺に向けて朝8時にホテルをチェックアウトした。さすがに睡眠不足の感覚はあったが不思議と頭は冴えていた。天気は雲一つない快…

近畿周遊記 その3

3 今朝はいつもより1時間以上早い、5時50分に自然に目が覚めた。それでいてまったく眠くないし疲れもない。これは奈良の雰囲気が安定しているおかげだろうか、それとも単に私が浮かれていて眠気も疲れも感じていないだけなのか。とにかく今日は結果として1…

近畿周遊記 その2

2 名古屋駅手前からうたた寝をしていた私が目を覚ましたとき、のぞみ号は岐阜の山中にあった。標高の高いところほど雨雲は近い。岐阜の雨雲は手でつかめそうなほど近くに見えた。 岐阜山中の雲 雲はわたでできているので手でそっとつかむことができる。優し…

近畿周遊記 その1

1 10時42分発新大阪行のぞみ号の車内はとても空いており快適である。東京の天候は晴れ、湿度はさほど高くない。睡眠は十分にとったし、忘れ物もおそらくない。出発にはこの上ないコンディションだろう。 今日は昼過ぎに新大阪に着き、昼食を食べ(粉ものを…

生き甲斐について

この前、後輩に「生き甲斐は何ですか」と訊かれた。生き甲斐。手元の『広辞苑 第五版』には「生きるはりあい。生きていてよかったと思えるようなこと」とある。私はうまく答えることができず、お茶を濁した。 私は良い物、良い人、良い場所に触れるのが好き…