申如録

日常生活で考えたことなど

2021-01-01から1年間の記事一覧

『臨済録』曲解 三

上堂 ―お堂での説法― その3 【原文】 師因一日到河府。府主王常侍、請師陞座。時麻谷出問、大悲千手眼、那箇是正眼。師云、大悲千手眼、那箇是正眼、速道速道。麻谷拽師下座、麻谷卻坐。師近前云、不審。麻谷擬議。師亦拽麻谷下座、師卻坐。麻谷便出去。師…

『臨済録』曲解 二

前回から話が続いているので、その1を読んでいない方はこちらから 上堂 ―お堂での説法― その2 【原文】 有座主問、三乘十二分教、豈不是明佛性。師云、荒草不曾鋤。主云、佛豈賺人也。師云、佛在什麼處。主無語。師云、對常侍前、擬瞞老僧。速退速退、妨他…

『臨済録』曲解 1

上堂 ―お堂での説法― その1 【原文】 府主王常侍、與諸官請師陞座。師上堂云、山僧今日、事不獲已、曲順人情、方登此座。若約祖宗門下、稱揚大事、直是開口不得、無你措足處。山僧此日、以常侍堅請、那隱綱宗。還有作家戰將、直下展陣開旗麼。對衆證據看。…

『臨済録』曲解 序

はじめに ひまなので『臨済録』を翻訳してコメントをつけていこうと思う。 『臨済録』とは臨済(りんざい)という中国の坊さんが言ったりやったりしたことをまとめた書物である。臨済は唐末期の人だから、彼が『臨済録』に書かれていることを実際に言ったり…

劉琨「答廬諶詩一首並書」

冬はお酒が美味しい。特に日本酒と焼酎が美味しい。気がつけば立冬まで3週間弱、日は目に見えて短くなり気温はぐっと低くなってきた。楽しみな季節が近づいてきている。 漢詩には酒を扱ったものが多く、漢詩集をぱらぱらめくっただけでも容易に見つけること…

好きの話

私は好きという言葉で執着を意味してきたように思う。私が何かを好きだと思うたびに、それは実は執着だったと思う。 だから好きなものには必ず手をつけてきたし、手をつけないことなどありえなかった。むしろ、好きだと言っておきながら好きなものにあまり触…

誕生日のつれづれに

誕生日の朝ごはん 生卵をぐちゃぐちゃかき混ぜる。もとはヒヨコに、そしてニワトリになるはずだったもの。 ヒヨコをミキサーにかける想像をしてみる。あるいは、ヒヨコを生きたまま口に入れて噛み砕く想像をしてみる。ヒヨコは一瞬で絶命する。 溶いた卵に醤…

冬の便り

前略 ご無沙汰しております。 20代の後半にさしかかり、ようやく物事に動じなくなってきました。いや正確に言えば動じはするのですが、すぐに自身の感覚に立ち戻ることで動じてしまった心をいくらか平静にすることができるようになりました。わたしはもとも…

薫習

よく晴れた冬の夜のこと、下り方面の電車内にカップルとおぼしき男女2人が並んで座っていた。互いに何もしゃべらず、かといってスマホを見るわけでもない。心なしか張りつめた空気をまといながら、2人はじっと前を見つめている。 電車があまり人気のない駅…